パイプカット(精管結紮術)は、男性における確実性の高い避妊手術です。女性の卵管結紮術に比べ、男性の精管は体表近くに位置するため侵襲が小さく安全に行えます。当院が実施する「顕微鏡下無切開パイプカット(Microsurgical No-Scalpel Vasectomy)」は、陰嚢正中線のわずか 0.3〜0.5 cm の極小穿刺創から両側の精管を露出・結紮切断します。縫合不要・二重局所麻酔・日帰り対応で、術後の回復が極めて早いのが特徴です。
従来の精管結紮術は陰嚢の両側を 1.5〜2 cm 切開し縫合を要しました。これに対し無切開法(NSV)は特殊器具で穿刺し傷跡を最小限に抑えます。当院ではさらに顕微鏡下微小外科技術を融合させ、神経・血管を丁寧に温存し、電気メスを用いずに微細糸で結紮止血を行うことで、術後血腫や痛みのリスクを最小限に抑えています。
顕微鏡下無切開パイプカットの手術特徴
麻酔方法
安全性の高い二重局所麻酔を採用しています。意識ははっきりとした状態で痛みをほとんど感じることなく、スマートフォン操作や音楽を聴きながらリラックスして受けていただけます。
傷跡と入院の要否
陰嚢正中線の単一極小創(約 0.3〜0.5 cm)のみです。日帰り外来手術で入院は不要。術後すぐにご自身で歩行して帰宅可能です。
手術手順とメカニズム
仰臥位で二重局所麻酔後、専用器具で陰嚢正中部に微小穿刺創を作り、精管を露出して両端を糸で結紮・一部切除します(図 1、図 2A)。同一の微小孔から反対側の精管も同様に処置します。これにより精巣で作られた精子が精液中に出るのを遮断します。傷跡は皮膚皺に馴染み縫合不要で、治癒後はほとんど目立ちません(図 2B)。

図 2A:陰嚢正中微小創。図 2B:約 0.3〜0.5 cm の創は縫合不要で、直後から目立ちにくい状態です。
当院の強み
- 新式・二重局所麻酔:全身麻酔や下半身麻酔のリスクがなく安心。
- 単一穿刺孔・縫合不要:創部への負担が極めて小さく、早い治癒。
- 日帰り手術:入院不要で翌日から軽作業やデスクワークが可能。
- 電気メス不使用:微小糸結紮により熱損傷を回避し、神経と血流を温存。
- 顕微鏡下技術の徹底:合併症発生率を極めて低く抑えます。
一般的なリスクと合併症頻度
- 創部感染:約 4% 未満
- 陰嚢血腫:約 5% 未満
- 精巣上体炎:約 3.4%
- 精子肉芽腫:精子の漏出による良性の硬結で、通常は無害です。
- 慢性疼痛:約 1〜2%
- 自然再開通:約 0.05%(極めて稀)
手術前後の重要な注意点
- 恒久的な避妊法であるため、ご夫婦・パートナー間で十分にご相談の上お申し込みください。
- 手術時間は約 20〜30 分です。術後一時的に鈍痛や重圧感が出ることがありますが、内服薬で落ち着きます。
- 最重要:術後約 2 か月間は避妊を継続してください! 精嚢や残存精管に精子が残っているため、約 10〜20 回の射精を経た後、精液検査で精子ゼロ(無精子症)が確認できるまで他の避妊法が必要です。
- 男性機能・射精への影響はありません:精子が精液全体に占める割合は 1% 未満であり、射精量や質感、快感は変化しません。また男性ホルモン分泌にも影響せず、勃起力や性欲は維持されます。